来院されていた方がアメリカに移住されメールでの不妊のアドバイスを求めてきました。
男性側に問題がないので人工授精はススメませんでした。
アメリカでの現実は「ご主人の反対」「高い治療費」の問題がありました。
『二人目不妊は同じ方法で妊娠する!』っていうのが私の経験です。
患者相談

一人目はビッグママ治療室にて鍼灸治療やカウンセリングで妊娠、無事に出産出来ました。
いま、アメリカに住んでいます。
通うことが出来ないので、相談させて下さい。

私は昔からPCOSと診断され、クロミッドを服用していました。
(息子を妊娠したサイクルは飲んでいなかったのですが)

一度妊娠すると改善することもあると希望を持っていたのですが、改善されず、今年の1月よりアメリカの産婦人科へかかることにしました。
こちらでは今までの経緯を話した後、内診もなにもないまま生理を起こすためのプロゲステロンとクロミッドを処方され、生理21日目に血液検査(プロゲステロン値)を受けるよう指示されました。
その後、プロゲステロン値は低く、排卵しなかっただろうと伝えられ、また内診もないまま同じ薬を処方されました。

こちらでは、「妊娠するための治療」は全て不妊治療となり、保険は全く効きません。
この薬の処方と血液検査に毎月180ドル(19800円)もかかりました!
その後も、この高いクロミッド処方と検査をしていますが妊娠しません。

病院では第二回目から人工授精を進められました。
現在36歳。あまりステップアップは希望していません。
主人はあいかわらず「そこまでしなくていいんじゃない〜」です。
先生ならばどんな計画を奨めますか?

こちらは人工授精が1回15万円、体外受精が120万円です。
かなり度胸のいる金額で考えてしまいます。

※PCOS(多嚢胞性卵巣症候群): 卵胞が発育するのに時間がかかってなかなか排卵しない症候群です。
※クロミッド : 排卵誘発薬

<私からのお返事>

ご主人の問題がなければ、人工授精はあまり意味がないかもしれないですね。
排卵障害が主訴なのですから、排卵を誘発してもらうというのが治療の主眼ですよね。
おっしゃるとおり、こちらにいらして妊娠してたときには、クロミッドは飲んでいなかったのですよね。

クロミッドが高い排卵誘発効果の割に妊娠率が低いと言われるのは、内膜を薄くしてしまう問題もあるのかなという感じですね。

多膿疱性卵巣ならば体外受精も視野にいれておいてもよいかなとは思います。
なかなか排卵しないけれど、強い誘発をすれば沢山出てきてしまうというせめぎ合いの中、結局、がっつりと誘発して(ガッツリ誘発すれば、それなりに沢山出来るのが多膿疱性卵巣の人の特徴ですよね)、受精卵を作り、それを一つずつ戻すということが成功につながるような手応えがあります。

しかしながら、現実にはご主人の反対、高い治療費がありますね。

第一子を自力妊娠をしているので、もう少しタイミングでがんばってみてもよいかと思います。
『二人目不妊は同じ方法で妊娠する!』っていうのが私の経験からの提言です。

まとめと整理してみました。

1)何らかの方法で(クロミッドだけではなくて、薬をかえてもらうのはなし?)排卵誘発してもらう。
2)その後のフォローは最低限にして、基礎体温表を活用。
 排卵チェッカー(排卵検査薬)は、LHが高いと使えない場合がある。

3)人工授精はコストパーフォーマンス的にあわないので、これをやるぐらいならば、
  一時帰国利用の体外を考えた方がよっぽど結果につながりやすいと思われます。

こんなところでしょうかねえ。

体外受精も、年齢があがると、非常に成績が悪くなります。
第一弾で妊娠率ががくっと下がるのが35歳、次が37.5歳です。
いま微妙な年齢ですね。

そうそう、卵巣のドリリングは日本でもそれほど多くはみかけません。
腹腔鏡の手術ですからね。
ただ、ご主人がどうしても、ステップアップをいやがるのならば、一時帰国して(海外でも可能なのかな?)やるのはいいのかもしれません。

少し前に挑戦した方がいらっしゃいます。
ただし、その方は、手術後半年タイミングをとってみましたが、結局妊娠出来ず、体外受精にステップアップし、第一子を無事にご出産なさいました。

外国なので、何を選択したらいいのかというのも、難しいところですが、
ご参考まで。

※卵巣のドリリング 
卵巣にレーザーあるいは電気メスを用いて複数の小さい穴をあける(ドリリング)手術

その後、ご連絡いただきました。

妊娠しました!
実は、なんと、無事に妊娠しました!
ただ今7週で、心拍も確認できました。

とっても嬉しいです。
先生とメールできたおかげで、迷いがなくなったのがよかったのかも知れません。
実は、今周期は、排卵日近くに歯科手術の予定があったため、最初はクロミッドを飲まずにスタートしました。
案の定卵胞は育っていなかったので、16日目からクロミドをのみましたが、

それでも育たず、さらに2段階投与でようやく30日目で排卵しました。
こんな経過だったので、全く期待していなかったのですが。
卵胞の成長を見るため、エコーを5回くらい行いましたが、1回のエコーが290ドル!
これでは破産すると看護婦さんに泣きついたら、上限800ドルというパックがあるらしく、800ドルで済みました。でも今のレートだと10万円弱。
これがいつまで続くのかと恐れていたのですが、妊娠できて本当によかったです。
病院以外に行った妊活は、鍼治療を週1回と毎朝のウォーキング20分。

ありがとうございました!」

笑顔左

30週にて帰国し、里帰り分娩
無事に第二子を出産

説明右

一人目は当院に通って下さり一緒二人三脚、そして今回は海外での不妊治療と言うことでメールにてのやりとりをさせていただきました。

無事に妊娠ー出産となり本当にほっとしました。
今回もご主人の「そこまでしなくていいんじゃない〜」というのが印象的。

説明左。

ちょうどカナダ在住の方が不妊治療で日本にいらっしゃり無事に妊娠。
カナダへ帰国しての妊娠ー出産報告をいただいていたのでカナダ、アメリカ両国と日本の妊娠ー出産事情の比較になりとても興味深かったです。

日本では、妊婦さんを中心とする妊婦健診ですが、カナダ、アメリカでは妊婦そのものよりも、胎児に重きを置かれた検診になるのが興味深いところでした。
日本では胎児ドックや出生前検査はまだまだ敷居が高く一般的ではないのですが、カナダアメリカでは当たり前に組み込まれているんですねえ。
結果に対してもどのように説明フォローがあるのかと思います。

また不妊治療について、その採卵数や結果で良く比較がなされ、日本はあまり成績がよくないなどといいますが、1回120万円の費用がかかれば、自然と回数についての制限がかかるのではと思いました。

つまり、体外受精が3回以内に妊娠しなかった人が、4回目、5回目の挑戦はあるのかないのかってあたりの比較も欲しいですよね。

たぶん、体外受精が3回目以内で妊娠した人の比較でしたら日本もアメリカも違いがないのではないかと思うのです。
それ以上の状況で妊娠しない場合、あきらめるのか、再挑戦する選択肢があるのかということを知りたいですねえ。アメリカで体外受精を三回したら360万円。
日本ならば9−10回はできそうです。
この違いがどのようにデーターに反映されるのかななどと思いました。

プロゲステロンとクロミッド
プロゲステロンとクロミッド